循環器科について

「循環器」とは、心臓・血管・リンパ管などの体液を身体に循環させるための器官のことです。大きくは、動脈硬化、高血圧症、動脈瘤などの血管の病気と、狭心症や心筋梗塞、弁膜症、不整脈などの心臓の病気に分かれます。心疾患は日本人の三大死因のひとつであり、悪性新生物(がん)に続いて2番目に多いとされています。

循環器の病気は生活習慣病にも大きく関わっており、脂っこいものや塩分多めの食事、過剰なアルコール摂取、運動不足、喫煙などが原因で発症するリスクが高くなります。放置せず、日々の習慣を見直してきちんとケアしていくことが大切です。

こんな症状はありませんか?

息切れ・呼吸困難
締めつけられるような胸の痛み・圧迫感
突然脈が速くなる(または遅くなる)
脈がとんだように感じたり、動悸が起こる
背中や左肩、左腕が痛い
左胸や歯、首が痛い
手足のむくみ・しびれ

狭心症

狭心症とは、心筋(心臓の筋肉)に血液を行き渡らせる「冠動脈」が狭くなることにより、一時的に心筋が酸素不足に陥って胸の痛みや圧迫感を引き起こす病気のことです。

心筋梗塞

心筋梗塞は、冠動脈がさらに急速に細くなったり、完全に詰まったりして、心筋細胞が死んでしまい心臓の収縮機能が低下する病態のことを心筋梗塞といいます。心筋梗塞はほとんどが急に出現しますが、知らず知らずのうちに出現してしまっている場合もあります。死んだ心臓筋肉細胞の範囲と程度によりますが、恐ろしい不整脈や極端な心機能の低下をもたらすこともあり、突然死を引き起こすこともあります。

不整脈

不整脈とは、脈のリズムや頻度が一定でなくなる状態を指します。不整脈にはその原因や起こり方などによって、何十種類にも細かく分類されますが、心拍の状況をもとに大きく分けると「速い」「遅い」「飛ぶ・抜ける」3つのタイプになります。自覚症状のない放置して良いものから、息切れや失神を生じる致死的なものまで様々です。

弁膜症

心臓にある弁に障害が起き、本来の役割を果たせなくなった状態を「心臓弁膜症」といいます。心臓弁膜症には大まかに2つのタイプがあります。「狭窄」は弁の開きが悪くなって血液の流れが妨げられる状態です。「閉鎖不全」は弁の閉じ方が不完全なために、血流が逆流してしまう状態です。

心筋症

心臓の筋肉そのものの異常で心機能が低下する病気です。心筋症には拡張型心筋症が代表的で他に肥大型心筋症、拘束型心筋症があります。

心不全

心臓に何らかの異常があり、心臓のポンプ機能が低下して、全身の臓器が必要とする血液を十分に送り出せなくなった状態をいいます。肺や肝臓などに血液が滞って、呼吸困難やむくみ、動悸、疲労感など、さまざまな症状が引き起こされます。心不全は個別の疾患名ではなく、さまざまな原因疾患が引き起こす心臓のポンプ機能の低下した症候群のことを言います。心不全の原因には高血圧、弁膜症、心筋症、心筋梗塞や狭心症などの虚血性心疾患、先天性心疾患や、甲状腺の病気やある種の栄養分不足などによっても引き起こされます。

各種精密検査

心電図、長時間心電図

心電図とは、心臓の筋肉の収縮に伴って発生する微量の電流を波形としてグラフにあらわしたものです。不整脈、狭心症や心筋梗塞といった虚血性心疾患、心肥大などの診断に有用です。健康診断などで測定する安静時の心電図が基本的なものですが、安静時の測定だけでは分からない場合もあるので、必要があれば負荷心電図や長時間心電図検査なども行います。

血圧脈波検査(PWV/ABI)

両手両足首に血圧計を巻き四肢の血圧を同時に測ることにより、ABI(足関節上腕血圧比)とPWV(脈波伝播速度)を同時に測定します。

ABI(足関節上腕血圧比):動脈硬化による狭窄や閉塞を検査します。
ABI0.9以下は症状の有無にかかわらず閉塞性動脈硬化を疑います。

PWV(脈波伝播速度):動脈壁の硬さを計測し、血管年齢を評価します。
動脈硬化が進むと心臓の拍動が手足に速く伝わるのでPWVは速くなります。
PWV1400cm/s以上は動脈硬化が疑われます。

心臓超音波検査

心エコーとは、超音波を用いて心臓を画像にして心臓の動きや大きさ、弁の状態、血液の流れなどを観察する検査です。弁膜症、虚血性心疾患、心筋症、先天性心疾患などの診断に用いられます。

頸動脈エコー検査

頸動脈エコー検査では、超音波が頸動脈まで届いて反射した波を画像に変換して、動脈壁の厚さや血流を計測して、どのくらい動脈硬化が進行しているかを知ることができます。動脈硬化の指標のひとつとして、内膜中膜複合体肥厚度(IMT)があります。IMT(Intima Media Thickness)は、動脈壁の3層のうちで、内膜と中膜をあわせた厚さのことです。頸動脈ではIMTが1.1mm以上になると動脈硬化と診断されます。

その他

胸部X線、CT検査・心臓の負荷を調べる血液検査・血液の固まりやすさの検査や薬の効果判断